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注意喚起:Apache製ソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃について

セキュリティ 2021.2.24

Apache Software Foundationは、「Apache HTTP Server」を始めとしたWebサーバを運用する上で欠かせないソフトウェアを数多く提供しています。その一方で、Apache関連のソフトウェアの脆弱性が多数発見されており、国内でもIPAやJPCERT/CCからたびたび注意喚起が行われています。今回はそれらの脆弱性の詳細と対策についてご紹介いたします。

このニュースはこちらよりPDFファイルにてご覧いただくことができます。


1. 概要

 Apache Software Foundationは、「Apache HTTP Server」を始めとしたWebサーバを運用する上で欠かせないソフトウェアを数多く提供しています。
 その一方で、Apache関連のソフトウェアの脆弱性が多数発見されており、国内でもIPA(情報処理推進機構)やJPCERTコーディネーションセンターからたびたび注意喚起が行われています。「脆弱性対策情報の公開に伴う悪用増加」はIPAが毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」でも2020年の14位から2021年は10位に上昇しており、注意が必要な脅威の1つです。
 2021年1月には早くもJPCERTより「Apache Tomcat」の脆弱性に関する注意喚起が行われています。また、2020年末以降、e-GateセンターでもApache関連のソフトウェアの脆弱性を狙った攻撃の増加を検知しております。
 今回はそれらの脆弱性の詳細と対策についてご紹介いたします。


2. Apacheのシェアと利用のリスクについて

 Apache Software Foundationが提供するソフトウェアは無償で利用可能なオープンソースソフトウェア (OSS) であり、その長い歴史から信頼性も高く、また稼働するOSを問わない利便性が特徴です。このことからApache関連のソフトウェアは世界中で利用されており、実際にApache HTTP ServerはNetcraftの調査によれば2021年1月時点で世界におけるWebサーバの約1/4を占めています。その高いシェアゆえに悪意ある攻撃者のターゲットとなりやすいソフトウェアであるとも言えます。
 Apache関連ソフトウェアの脆弱性の過去事例としては、2020年に「Apache Tomcat」(以下Tomcat)の脆弱性・通称「Ghostcat」(CVE-2020-1938) が明らかとなっており、多数のPoCコード(実証コード)が公開され、容易に攻撃可能な状況となったことから問題となっています。
 また、JavaのWebアプリケーションを作成するためのフレームワーク「Apache Struts 2」(以下Struts2)の脆弱性について、過去に弊社のe-Gateセキュリティニュースで取り上げております。詳細は下記ニュースをご参照ください。
 https://www.ssk-kan.co.jp/wp/topics/topics_cat05/?p=9257


3. e-GateセンターにおけるApache関連の攻撃イベントの傾向

 e-GateセンターではApache関連ソフトウェアの脆弱性をついた攻撃の増加を観測しております。特に2020年12月以降においてその数は前月の4倍以上まで急増しており、今後も攻撃の増加が予想されます。
 攻撃の傾向としては、先に挙げたTomcatやStruts2に加え、「Apache Solr」(以下Solr)の脆弱性を狙った攻撃が多数を占めております。


【図1】e-GateセンターにおけるApache関連の攻撃イベント数の推移(2020年7月を100%として算出)


4. 「Apache Tomcat」脆弱性 (CVE-2021-24122) の詳細

 TomcatはJava ServletやJavaServer Pages (JSP) を実行するためのWebコンテナ(サーブレットコンテナ)です。
 Apache HTTP ServerがWebサーバとしてテキストや画像などの静的なコンテンツを提供するのに対し、TomcatはWebサーバ上でJavaスクリプトを動作させるために必要な環境を提供し、動的なコンテンツを提供します。Tomcat自体にもWebサーバの機能が存在しますが、別のWebサーバと連携させることによりサーブレットコンテナとしての用途に特化させることができます。
 2021年1月15日にJPCERTよりTomcatの脆弱性 (CVE-2021-24122) について注意喚起が行われています。
 当該脆弱性はNTFS(Windows系のファイルシステム)を利用してネットワーク上からリソースを提供する場合に発生します。Java APIのFile.getCanonicalPath()の予期しない動作によってセキュリティの制約回避やJSPのソースコードの漏洩が発生する可能性があります。
 対象システムは下記のバージョンです。
 ・Apache Tomcat 10.0.0-M1から10.0.0-M9
 ・Apache Tomcat 9.0.0.M1から9.0.39
 ・Apache Tomcat 8.5.0から8.5.59
 ・Apache Tomcat 7.0.0から7.0.106


5. 「Apache Solr」脆弱性 (CVE-2018-1308) の詳細

 Solrは全文検索エンジンです。
 2018年にSolrのXML外部実体攻撃(XXE攻撃)に対する脆弱性 (CVE-2018-1308) の情報が公開されていますが、e-Gateセンターにおいて検知数が急増している攻撃の1つにその脆弱性を突いた攻撃が挙げられます。
 XXE攻撃は特殊なXML入力を送信することで、任意のローカルファイルの参照や内部ネットワークへのリクエストが可能になる攻撃手法です。
 対象システムは下記のバージョンです。
 ・Apache Solr 1.2から6.6.2
 ・Apache Solr 7.0.0から7.2.1


6. 対策

・最新アップデートの適用
 開発元より公開されている脆弱性を修正したバージョンへのアップデートが推奨されます。
 CVE-2021-24122については、下記のバージョンで当該脆弱性が修正されています。
 ・Apache Tomcat 10.0.0-M10以降
 ・Apache Tomcat 9.0.40以降
 ・Apache Tomcat 8.5.60以降
 ・Apache Tomcat 7.0.107以降

CVE-2018-1308については、下記のバージョンで当該脆弱性が修正されています。
 ・Apache Solr 6.6.3以降
 ・Apache Solr 7.3.0以降

・セキュリティ機器による攻撃通信の監視
 FirewallやIPS(侵入防御システム)等のセキュリティ機器により、不審な通信を検知・遮断することも一定の効果が見込めます。


7. 参考

・Netcraft
 January 2021 Web Server Survey
 https://news.netcraft.com/archives/2021/01/28/january-2021-web-server-survey.html

・IPA
 情報セキュリティ10大脅威 2021
 https://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2021.html
 Apache Tomcat における脆弱性(CVE-2020-1938)について
 https://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/alert20200225.html

・JPCERT/CC
 Apache Tomcatの脆弱性(CVE-2021-24122)に関する注意喚起
 https://www.jpcert.or.jp/at/2021/at210002.html

・JVN
 Apache Tomcat における Java API の実装不備に起因する情報漏えいの脆弱性
 https://jvn.jp/vu/JVNVU96136392/
 Apache Solr におけるXML 外部エンティティの脆弱性
 https://jvndb.jvn.jp/ja/contents/2018/JVNDB-2018-004003.html


8. e-Gateの監視サービスについて

 e-Gateのセキュリティ機器運用監視サービスでは、24時間365日、リアルタイムでセキュリティログの有人監視を行っております。サイバー攻撃への対策としてセキュリティ機器を導入する場合、それらの機器の運用監視を行い、通信が攻撃かどうかの分析、判断をして、セキュリティインシデント発生時に適切に対処できるようにすることが重要です。e-Gateのセキュリティ監視サービスをご活用いただきますと、迅速なセキュリティインシデント対応が可能となります。
 また、e-Gateの脆弱性診断サービスでは、お客様のシステムにて潜在する脆弱性を診断し、検出されたリスクへの対策をご提案させていただいております。
 監視サービスや脆弱性診断サービスをご活用いただきますと、セキュリティインシデントの発生を予防、また発生時にも迅速な対処が可能なため、対策コストや被害を抑えることができます。

■総合セキュリティサービス 「e-Gate」
 SSK(サービス&セキュリティ株式会社)が40年以上に渡って築き上げてきた「IT運用のノウハウ」と最新のメソッドで構築した「次世代SOC“e-Gateセンター”」。この2つを融合させることによりお客様の情報セキュリティ全体をトータルにサポートするのがSSKの“e-Gate”サービスです。e-Gateセンターを核として人材・運用監視・対策支援という3つのサービスを軸に全方位のセキュリティサービスを展開しています。
【参考URL】
https://www.ssk-kan.co.jp/wp/e-gate/


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